5/28/2013

Paul Graham にまつわる2冊

最近読んだ本を2冊 −この2冊は発売時期は随分違いますが、関係のある本なので− まとめて紹介したいと思います。

はじめは『ハッカーと画家』
 発売当時(2004年/日本では2005年)は随分話題になったようなのですが、僕が買ったのは3年ぐらい前で、1度目は読みづらい日本語訳に馴染めず挫折、2度目は「それなら」と去年、英語版をKindleで買ったものの何となく挫折、そしてやっと3度目に読み切りました。
作者は、ポール・グレアム。プログラマーには超有名な人だと思います。
現在のクラウドサービス(ASP)のアイデアを思いつき、Viawebというサービスを立ち上げYahoo!に売ったというプログラマー(彼の言うハッカー)であり起業家です。
そんな彼が、ブログで綴った内容をまとめたものが『ハッカーと画家』です。
単なる綺麗ごとや上っ面ではない非常に示唆に富んだ内容で、噂に違わぬ名著でした。(もっと前に読んでいれば良かった)10年近く前に発売された本ですが、彼の思想や着眼点は、プログラマーの域に留まらないばかりか、今でもまったく古臭さはなく読者に新しい気付きと思考の道を与えてくれます。
目次だけでも読みたくなると思うので紹介したいと思います。

【ハッカーと画家】
第0章 メイド・イン・USA
第1章 どうしてオタクはもてないのか
第2章 ハッカーと画家
第3章 口にできないこと
第4章 天邪鬼の価値
第5章 もうひとつの未来への道
第6章 富の創りかた
第7章 格差を考える
第8章 スパムへの対策
第9章 ものづくりのセンス
第10章 プログラミング言語入門
第11章 百年の言語
第12章 普通のやつらの上を行け
第13章 オタク野郎の復習
第14章 夢の言語
第15章 デザインとリサーチ
第16章 素晴らしきハッカー

そんな彼は『ハッカーと画家』を上梓した翌年の2005年に"Y Combinator"という起業家への投資会社を立ち上げました。
僕は"Y Combinator"のことは知りませんでしたが、そのブログの"Hacker News"のことは以前から知っていて定期的に読んでました。
で、この"Y Combinator" で起きていることを綴ったドキュメンタリーが最近発売された『Yコンビネーター』です。
Y Combinatorのことを簡単に紹介。
投資を求めている起業家たちはY Combinatorに応募し面接を受けます。
面接に通れば(合格率は3%程度)、1万5千ドル〜2万ドル程度の小額の投資を受けられます。そして、Y Combinatorは、その企業が発行する株の7%を受け取るという仕組みです。投資なので、当然リスクがあるのですが、それは多くの起業家に小額ずつ投資をするということで、リスク回避しています。
で、選ばれた起業家たちは3ヶ月間、シリコンバレーに引越し各々のアイデアを具現化するために日夜プログラミングに励みます。その中で行き詰まったり、相談事があれば、ポール・グレアムや他のパートナーに自由に意見を求められます。
Y Combinatorの選別基準が非常にすぐれているので、Y Combinatorのメンバーに選ばれたら、審査なしにそれだけで投資するという会社もあるようです。
ちなみに、DropboxもY Combinator出身です。

そんな彼ら若き起業家(若くない人もいるけど)の3ヶ月間をおったドキュメンタリーです。謎に包まれた"Y Combinator"の中では何が起きているのかがよく分かります。そして、楽観的な(と思われがちな)アメリカ人も悩み苦しむ、僕らと同じ人間であることもよく伝わってきます。

どちらも刺激的な内容で面白いです。『Yコンビネーター』は図書館でもいいですが、『ハッカーと画家』は買っても損はないと思います。
興味のある方は是非、読んでみてください。

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